ゆれる金魚

嶋本と夏祭り※似非関西弁が酷いのでご注意


ゆかたを着てはしゃいでるより俺の方が遙かにはしゃいでいて、それを隠すのに必死やった

***

「お祭りが好きなんですけど一緒に行ってくれる人がいなくて」

 そんなこと言われたら「ほんなら一緒に行ってやるわ」って言うしかない。
婚活カップルが一緒に花火見ると吊り橋効果で高確率で結婚するって記事を何かで読んだことがある。もし、他の男と一緒に行ってそんなんなるよりええか、なんて事を考えながらクローゼットの中を漁っていた。

「あーあったあった!」

 五管にいた頃、祭りに参加せなあかんくて買った浴衣。またこいつが日の目を見る日が来るとはな。「使わへんやろ!」と思っとったけど……とっておくもんやなぁ
スマホで調べた浴衣の着付けの動画を見て四苦八苦しながらキュッと帯を締め上げると蝉がカナカナと鳴いてきて慌てて時計を見る。
もうこんな時間か、と慌てて草履代わりのビーサンを履いて飛び出した。

「もう!嶋本さん浴衣着てくるなら言ってくださいよ!普通の服だと思って探しちゃったじゃないですか!!」

 待ち合わせ場所に行くと沢山の人でごった返していて、何分か待ってようやっと現れたからは開口一番文句が飛び出してきた。
「サプライズやろ、どうや?ええやろ?」
「まあ、似合ってますけど……私はどうです?似合ってますか? 」
「そやな、孫にも衣装やな」
「またそんなこと言うー」

 浴衣を着たはいつもよりテンション高めで、ほんまに祭りが好きなんやなぁというのがわかる。
花火までまだもう少し時間があるからと、屋台を隈無く見て回る。最初に買ったリンゴ飴を片手に少し前を歩くは普段おろしてる髪をきゅっと結い上げていて、その首筋に少しドキリとした
ドドンと花火の音が鳴り出し、見える所まで移動するとこにしたもの考えることは皆同じで。満員電車の中を移動するみたいで、はぐれそうになる度にが俺の袖を掴んだ。

「なんや、もうめんどうだから手ぇ繋いどけや」
 ぐっと引いたの熱を感じる。その一瞬、花火の音がかき消されて心臓の音が聞こえそうなくらい高まったのがわかった。

ゆれる金魚/201807

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