共犯*

サンジくんが酷い男


 裏切りの果てに燃え上がる愛の炎は荒々しく情熱的で儚ない。その胸に秘めた蒼い炎で俺の全てを焼き尽くしてくれよ。

***

 女癖の悪い男を持つ女は胸に蒼い炎を灯していた。嫉妬と復讐と罪作りな炎。純真で綺麗な涙が零れる度、その炎は蒼く静かに燃え俺の心を煽る。
 彼女の様子がおかしいと思い始めたのは2度目に訪ねた時だった――
 ルフィ達が上陸した街へ出かけると言うので、俺が留守番を買って出ると体調が優れないので自分も残ると言い出した。『大丈夫か?』と訊くと、ただ頷いたが、何処か浮かない顔をしている。気にかかりはしたが余計な詮索をするは止めようと思った。

「じゃあ俺は甲板に居るから、何かあったら呼べよ」
「待って、エース」

 ヒラヒラと振った掌に小さな彼女が止まり、涙を溜め込んだ瞳で見つめられると不覚にもドキリとした。

「どうかしたのか?」
「ごめんなさい、ちょっと話を聞いて欲しくて……」

 彼女はそう言うと静かに語り始める。
 自分の男がこうして街へ出かける度に違う女と寝ている事、其れを見て見ぬフリをしてる事、それでも好きだと言う事。仲間には打ち明ける事が出来ず随分と耐えてきたのだろう。彼女の心は病んでいた。

 それからはひょっこり現れる俺にだけ無防備な涙を見せる様になった。彼女が零す涙は綺麗で、その涙を独り占めしているうちに いつの間にかその不安定に揺れる船をグラリと沈めたくなっている自分に気付く。

「聞いてる?エース」
「ん?あぁ悪ぃ悪ぃ、何だっけ?」

 呆れた様に溜息を1つ吐くと、また寂しそうな顔を見せる。

「ねぇ、エース… どうして男の人は浮気するの?」
「何だ、まるで俺も浮気経験者みてぇだな」
「あ、ごめん」
「浮気か、分かんねぇな俺には」
「そうだよね、ごめん」

 『そんなに疲れているなら別れてしまえばいいのに』何度かそんな言葉を投げかけようとして止めた。最初からそんな事出来るくらいなら、今、俺は此処には居ない。
 彼女は俯きながら無理に笑ってみせて、『やっぱり私だけじゃ満足出来ないって事なのかな』と小さく呟く。自分が辛くてボロボロなのに、それ程アイツが好きなのか……

「悪ぃ、もう限界」

 こんなに愛されてるのに他の女に現を抜かす男の気持ちなんて理解出来ねぇよ、そう心の中で呟くと、俯いているの顎をクイっと上げて半ば強引に唇を重ねた。

「エ…… ぅっ… 」

 突然唇を塞がれたは困惑した様子で手をジタバタと動かして抵抗したが、そんな事は造作も無い事で、こうして軽く手首を抑え込むだけで壁際の彼女は自由を失う。 それでもギュっと眉間に皺を寄せ躰を捩って拒んでみせたが力では敵わないと飽きらめたのか、次第にその力も弱まった。 そっと舌を忍ばせ角度を変えて何度も何度も重ねる。

「っ、はぁ」

 ようやく解放された口元はいやらしく艶めいて、誘われる様に其処へもう一度優しくキスをした。

 『何でこんな事』と言わんばかりに見つめる彼女の頭に帽子を乗せ、目隠しする様にグっと深く被せるとそのまま抱きかかえてベッドへ運ぶ。 当然、大人しくしている訳がなく足をバタつかせて反抗した。そっとベッドの上に座らせると手に当たるシーツの感覚から 其処がベッドの上だと気付き、慌てて帽子の鍔を上げこちらを見る。
 好きな男が居るのに『嫌か?』と訊くのは愚問だろうか? 無理矢理キスしておいて今更そんな気遣いなんて必要ないだろう、と思ったがが嫌がればそれ以上はしないくらいの理性はまだあった。 思い惑う様に一度目線を逸らしてからそっと誘惑にも似た目配せをする。

「いいのか?」

 そう訊ねるとコクンと小さく頷く。 抱き寄せたの躰からは微かに煙草の香りがして、俺はアイツの陰を追い出すようにギュっと強く抱きしめた。
 なんだ、嫉妬していたのは俺も同じじゃねぇか……そう思うと少し可笑しかった。 額にそっとキスを落としてから頬、唇、耳、首筋にキスをしてゆく。 ゆっくり体中にキスを施していると時折、俺の髪が擽ると言って躰を捩らせみたりして、不安と罪の意識からか、肩の震えが止まらずにいるのに強がったフリをして俺に躰を委ねる。 そんなが愛おしくて堪らなかった。
 堅くなった胸の突起に舌を這わせると面白い様に反応し、さっきまでの震えが嘘のみたいに甘い吐息を漏らした。

「ん…っ…ぁ…」

 それでも恥ずかしそうに声を殺すから、無理矢理啼かせてみたくなる。

「や、ぁっ……」

 指で撫でると彼女の其処は十分湿っていて、そのまま滑らせる様にナカを探るときゅうと時々締め付けくちゅくちゅといやらしく啼いた。 引き抜いた指に絡まる蜜をペロリと舐めそのまま彼女の口を塞ぐ。
 船に備え付つけてあるベッドは2人分には少し窮屈で、俺が動く度にギシっと鈍い音を立てたけどそんなのは気にならなくて。 美しい弧を描くの躰と束の間の快楽に溺れた。

 元々上手く泳げる躰でもねぇ、このまま溺れて死ぬならそれもいい。蒼い炎に魅せられながら。

共犯/20071027※2018加筆修正

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